こんにちは。私は2020城北会懇親総会実行委員の太田正法です。小児科医をしています。
今年は新型コロナ感染症のために様々な社会現象が起きています。医療者をはじめ国民皆さまの頑張りにより今のところ大きな流行が起きずに済んでいます。そして、多くの方から医療者への寄付や援助が行われているのは周知の事実です。
今回、懇親総会の企画として医療に貢献する寄付を行うことを実行委員会で決定し、城北会会員として何をしたら有意義な寄付になるかを考えました。戸山高校には平成28年に設立されたチームメディカルがあります。チームメディカルの詳しいことはホームページ等を参照していただきたいのですが、「医師として社会貢献できる人材の育成を目指す」ことを目標にしています。明治から昭和にかけて医師や政治家として活躍した後藤新平氏が「金を残すは下、名を残すは中、人を残すは上」と言ったことは有名です。ぜひ、城北会の皆様のお力で未来の医療を担うチームメディカルの生徒たちを援助しましょう。よろしくお願いいたします。
<経歴>
昭和61年山梨医科大学
(現在の山梨大学医学部)卒業
平成2年山梨医科大学大学院
(小児科学教室)卒業
その後、山梨県内の病院のいくつかに勤務し、現在は山梨県の都留市立病院の副院長をしながら、日々の小児科の診療をしています。
ご自身の紹介:
ロボット手術センター長として、ロボット支援手術の安全な普及と発展に努力したいと思っています。
戸山生へのメッセージ:
医療の世界でも、たくさんの戸山高校卒業生が活躍しています。
医学部に入るのも大変でしょうが、医師は現役である限り生涯勉強が必要です。その気概と覚悟を持って頑張ってください。
<経歴>
1986年 筑波大学医学専門学群卒業
1999年 筑波大学大学院腎泌尿器外科学講師
2005年 国際医療福祉大学三田病院泌尿器科教授
2007年 聖路加国際病院泌尿器科医長
2014年 同部長現在に至る
戸山生へのメッセージ: 医師を目指す若者へ。高校を卒業して40年、今の若者とは全く時代が違うかもしれませんが、自分自身生まれ変わってもまた医師になれるならなりたいと思っています。現実に我々医者仲間の子息たちの多くが医師になっています。とてもやりがいのある仕事です。もう医学部を受験すると決めている方は別として、どうしようか迷っている人にアドバイスです。患者さんとの会話に苦痛を感じない人は、是非、医師を目指してください。この会話がどうにも苦手、苦痛という人は、医師といっても主に研究を行う基礎医学に進んだり、患者さんとのやりとりが非常に少ない診療科に進んだほうがいいでしょう。救急医療、急性期診療をしているうちはそんなことを考えることは少ないですが、年齢を重ねて、診療が外来の診察業務、救急以外の患者さんの入院診療が多くなってくると、このことがとても重要になってきます。テレビドラマで放映される医師の活躍シーンは、実は診療業務のごく一部です。パソコンへの入力、診断書などの書類の記入、会議への出席、準備など大変地味な業務が非常に多いのです。近年、医療業界はガイドラインのラッシュです。診断のためのガイドライン、治療のガイドラインなどなど、強制ではありませんが、概ねこのガイドラインに沿った診療を行うようになっています。極論してしまえば、どの医師も同じ診断プロセス、治療法を行うようになるということです。医療AIの完成度が高まれば、この傾向はより顕著になるでしょう。患者さんにとって医師の違いは何か?注射の上手下手、手術の上手下手、検査の手際の良し悪しなど。でもこのようなことは診療業務のごく一部です。患者さんにとっては、医師と心地よいコミュニケーションが取れるかどうかがとても大きな要素です。患者さんと接する機会が多い臨床医(ほとんどの医師)を目指す方は、このコミュニケーションを大切にしてくれる方が適しています。以下、私が所属する愛媛大学の整形外科同門会の若手に私が贈った文章です。私のように、救急から離れ、患者さんとゆったり接する機会が多い医師は、仕事の70%が「患者さんとの会話」の状態です。整形外科の世界では、ほぼ完全に制圧できている疾患、外傷はまだまだ少ない状態です。言い換えれば、多くの患者さんは何らかの不満を抱きながら、現在の医療の限界を感じつつ、妥協してもらっているというのが現実です。私たちが提供している医療は、日進月歩であるものの、まだまだ患者さんたちの期待の域には十分に達していないと思われます。「話術」は非常に重要です。話し方によって「期待」は「不安」に変わりますし、「不信」は「憎しみ」にも「安心」にも変化します。これからを担う若い医師たちは、知識や技術の習得ばかりではなく、「話術」にも磨きをかけていただきたいと思います。パソコンや携帯のメールばかり上手にならずに、もっと積極的に直接対話するようにしていただきたいと思います。
昭和62年 愛媛大学卒業
認定医専門医資格
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・日本リウマチ学会指導医
・日本リウマチ学会登録医
・日本リハビリテーション学会認定臨床医
ご自身の紹介 : 自らも地域医療を推進するため、医療法人社団DENみいクリニック代々木を立ち上げ、地域のかかりつけ医として小児から高齢者まで幅広く対応し、在宅医療にも取り組み、地域包括ケアシステムの構築を実践。ウィズコロナにおけるオンライン診療については取材多数。またベンチャー企業Medical Compassを起業し、2万ダウンロードを超えるセルフケアアプリ健こんぱすの考案者としても知られる。
神奈川県顧問、川崎市国際戦略拠点形成アドバイザー、国立がん研究センター企画戦略アドバイザー、日本健康会議実行委員。主な著書に『製薬企業クライシスー生き残りをかけた成長戦略ー』(エルゼビア・ジャパン)など。
戸山生へのメッセージ: 新型コロナウイルス感染症による医療への影響は大きいです。実際に患者さんの受診行動は大きく変貌してます。病気にならないようにしていくようなセルフケアやセルフメディケーションがこれまであまり進んでいなかったものが急に進んできているような状況です。デジタルやIoTやセンサーなどを使って、オンラインでも質の高い医療を行えるような環境整備も今後進んでいくのではと思います。一方で、世界の経済はものすごく停滞してきている中で、今後、社会保障財源も非常に厳しくなると予想されています。そうしたなかでユニバーサルヘルスカバレッジをどういうふうに守っていくのか、まさに世界的な課題になっています。若い皆さんと医療をより良くしていくことに一緒に取り組んでいければと思います。
<経歴>
早稲田大学理工学部にて人工心臓の研究開発を行い卒業(1999年)後、大阪大学医学部編入・卒業(2003年)。
外科医として臨床に従事した後、厚生労働省に入省し、数々の医療改革に関わる。厚生労働省退官後、2013年より内閣官房補佐官として、政府に助言。
現在(2020年8月時点)は医療法人社団DEN理事長、厚生労働省参与。2020年10月より早稲田大学先端生命医科学センター教授に就任。外科専門医、博士(医学)